町内会と行政との連携は情報整理から

町内会と行政との連携は情報整理から

2024年4月5日
町内会とどのように連携していくべきか、行政でも議論がスタートしています。役員の担い手不足は全国共通の問題です。女性の役員参加、デジタル活用、事業中心への転換など実験的な試みも必要と考えます。

2つの町内会の解散

2023年、大館市内の2つの町内会が解散したことは大きなニュースとなりました。テレビ、新聞で繰り返し取り上げられただけではなく、市内各所での話し合いでも議論の中心テーマになっています。

解散問題を抱える町内会長が市役所に相談にいきました。行政の対応は、任意団体には強く入っていけない、という残念なものであったそうです。大館市では、行政協力委員、民生委員などの推薦を町内会に依頼しています。地区によっては、町内会長が行政協力委員を兼任することも多くあります。町内会長宛てにはさまざまな通知やアンケートが送られており、任意とはいえ、地域への情報共有と意見集約の役割も求められています。そのような状況にも関わらず、町内会の解散という一大事において、当初、行政から何ら積極的な関与が示されなかったというのは、大きな不満のもととなりました。

支え合い推進会議による町内会長のアンケート

大館市は、「健康寿命の増進」と「支え合いの地域づくり」を支援するため、生活支援コーディネーター(地域支え合い推進員)を配置しています。国が進める生活支援体制整備事業に基づくものです。生活支援コーディネーターを中心に、大館市支え合い推進会議が設けられています。支え合い推進会議は、地域の支え合いの土台となる町内会の存続に強い危機感を抱き、行政に町内会と連携するための担当部署の設置を求めています。また、2022年には市内全域の町内会長を対象にアンケートを行っています。

そのアンケートによると、行政は「町内会を支援するほうがよい」という意見が7割。「町内会を支援する行政の担当部署が必要と思うか」に対して、全くそう思う、ややそう思う、を合わせて9割でした。大多数が行政の一元化された支援を求めているという結果です。この要望について、2023年3月の議会で市長に質問をしました。町内会との連携を担当するのは、一義的には総務課であるが、案件によっては専門性を要するため、スピード感を重視し各課で対応している、とのことでした。

アンケートで「町内会を運営するうえでの悩み」(複数回答)については、回答数が多い順番に、1. 役員のなり手がいない、2. 役員が高齢化している、3. 特定の人しか参加しない、4. 役員の負担が大きい、5. 会員が減少している、という5つが上位でした。

役員のなり手がいないために、役員が固定化し高齢化している、と考えられます。役員のなり手がいない原因はいろいろと考えられますが、特定の人しか参加しない、役員の負担が大きい、会員が減少している、という状況も原因の大きな部分を占めているはずです。悩みの上位は、(3,4,5 + α)→ 1 → 2 という因果関係にあると考えられます。

役員のなり手がいない

2023年に解散を決めた市内2つの町内会も、役員のなり手がいないことが最大の原因でした。解散後、支え合い推進会議が町内会の支援に乗り出しています。支え合い推進会議のメンバーがはじめに戸別訪問し、町内会の役割を説明しながらアンケートを配布しヒアリングを行いました。そこでもらった意見とアンケート結果をとりまとめ、報告会を開催。報告会では、町内会が最低限おこなうべき活動は何かを参加者と話し合って整理したそうです。地域行事は大切ですが、担いきれなくなって町内会を解散してしまっては本末転倒です。支え合い推進会議の狙いは、町内会活動の棚卸しをおこない、最低限の活動にしぼりこんだうえで活動再開を模索しようというものです。支え合い推進会議は、町内会活動の必要性を理解してくれる人たちを地道に増やすことに取り組んでいます。

役員の負担が大きいというのはアンケートで4番目に多かった悩みです。この負担のなかには、町内会独自の活動だけでなく、行政からのさまざまな依頼事項も含まれています。市から町内会への依頼事項がどれくらいあるのか整理したうえで、不必要に肥大化しないよう見直さなければいけません。これは行政側が取り組むべきことです。

他市の状況を見てみましょう。八戸市はコミュニティ政策に熱心に取り組んできた自治体です。2005年には地域コミュニティ振興指針を策定し、18年間ものあいだ、さまざまな事業に取り組んできました。それにも関わらず、今年2024年1月に開かれたイベント、地域コミュニティ人財育成アカデミーでは、「多くの町内会が人手不足に悩む」という前提のもと、その解決策が提案されています。八戸市の例を見ると、役員のなり手不足という悩みは短期的に解決することが難しい問題です。

札幌市では2023年に、「札幌市未来へつなぐ町内会ささえあい条例」を策定しました。背景には、担い手不足、加入率低迷により町内会の運営が困難になっているという危機感があります。条例は、町内会の意義・重要性を示し、町内会・地域住民・事業者・市の全員に理解を求めるものです。まだ日が浅いため、結果は目に見えておりません。今後の動きを注視したいと思います。

自治組織としての町内会

大前提として、町内会は自治組織です。町内会が抱える共通課題を解決するために、行政も町内会と連携して取り組むべきです。しかし、最後の最後は町内会次第になると考えます。私も自分の町内会で役員をやっており、町内会も変化を求められている、と感じています。コロナ禍を経て、行事の見直しも行われました。次の世代にコミュニティをバトンタッチしていくためには、実験的な試みも必要と考えます。

  • 行事中心から事業中心へ
  • 企画主体から側面支援する側へ
  • 女性の参加拡大
  • デジタルを活用した情報共有

町内会が地縁をもとにした自治組織であるという点は、地方公共団体と似ています。ともに、「持続可能なやり方で住民の生活の質を高める」ということがミッションだと考えます。よりよい連携のかたちを見いだせるよう市の動きを追っていきたいと思います。