大館市の財政はどんな状況か

大館市の財政はどんな状況か

はじめに

2025年2月16日(日)14時から16時まで、市内3会場で大館市議会主催の議会報告会がおこなわれます。会場は、中央公民館、比内公民館、田代公民館です。報告する内容は次のとおりです。

  • 道路等包括管理業務委託(建設水道常任委員会)
  • 大館駅インランドデポ推進事業(教育産業常任委員会)
  • 病院事業(厚生常任委員会)
  • 大館市の財政状況、町内会(総務財政常任委員会)
  • 議員定数

当日は都合が悪いという方もいらっしゃると思います。そこでこの投稿では、私の所属する総務財政常任委員会の報告内容のうち「大館市の財政状況」についてお伝えします。

大館市の財政状況

市役所に要望や提案をしたとき「予算の都合で難しい」という回答をもらった経験はないでしょうか。それでは私達の大館市の財政はどのような状況なのでしょうか?

財政健全化判断比率

大館市議会は毎年9月の定例会で前年度の決算を審議します。その際、決算の補足情報として「財政健全化判断比率」の報告を受けます。これは国の「地方公共団体の財政健全化に関する法律」(財政健全化法)に基づいて、全国の自治体が公表するものです。令和5年度の財政健全化判断比率は次のようになっています。

丸数字の4つの指標が「財政健全化判断比率」です。一番下は公営企業だけを抜き出したものです。☆印が大館市の令和5年度の実績値です。黄枠と赤枠は国の基準です。それぞれ信号の黄色信号と赤信号にあたります。

黄色信号を超えますと、財政健全化計画をつくりそれに基づく行政運営をしなければいけません。大半の自治体が毎年、地方債という借金をしています。借金をする際に国の許可が必要となります。

赤信号を超えますと、借金は原則認められません。お金が足りない分は、行政サービスを縮小したり、公共料金を全国で最も高い水準に引き上げたりといった緊縮財政をおこない、何年もかけて財政を立て直します。

2006年に財政破綻した北海道夕張市は2027年を目標に財政の立て直しに取り組んでいます。自治体が財政破綻するとどうなるのか? 10年以上前の記事ですが、当時の鈴木市長のインタビューをご覧ください。

「財政破綻」は実際にどういうことなのか(日本経済新聞)

図の説明に戻ります。4つの指標はすべて「◯◯比率」という名前になっています。何と比べての割合かといいますと、大館市の一般財源に対しての割合です。あらかじめ特定の使い道が決まっている財源を特定財源と呼び、決まっていない財源を一般財源と呼びます。つまり大館市が使途を決められる財源の規模を目安に、赤字や借金の返済がどれくらいの大きさになっているかを示しています。

ご覧のとおり、大館市は4つの指標でイエローカードまでかなり余裕があります。

①と②は赤字の規模です。自治体はグループ会社のようになっています。①が本社のみの赤字、②がグループ全体の赤字です。大館市の場合は水道事業、病院事業などが含まれます。①②ともに黒字であり赤字は発生しておりません。

③は借金の返済規模です。大館市の借入金の返済額が一般財源の規模に対してどれくらいの割合になっているかを示すものです。大館市は9.4%と、黄色信号まで余裕があります。

④は借金の残高や債務負担行為に基づく予定高などが一般財源の規模に対してどれくらいの割合になっているかを示すものです。大館市は78.7%と、黄色信号まで余裕があります。

一番下の公営企業の資金不足比率は病院事業の値です。これについては、議会報告会で厚生常任委員会から報告が予定されています。

このように議会では「財政健全化判断基準では問題ありません」という報告を受けたわけです。「それなら予算をもっと使ってもいいだろう」と考える方もおられると思います。しかし、この財政健全化判断基準というのは、自治体が急に財務破綻するという極端なケースを避けるためのものです。現に、令和5年度で黄色信号の自治体はありません。赤信号を超えた自治体は北海道夕張市のみです。

では数多くの健全な自治体と比べたとき、大館市の財政はどのような状況なのでしょうか? そのためのデータが公開されているので、見てみたいと思います。

財政状況資料集

財政状況資料集は国の要請により全国の自治体が公開している財務資料です。様々な財務指標について全国の似たような規模の自治体と比べてどうなのかを見ることができます。これが財政状況資料集の長所です。

一方で、データの取りまとめに期間を要するため、決算よりも1年ほど(一部のデータは2年)遅れて公開されます。ここは短所です。

大館市のWEBサイトでも公開されていますが、総務省では主な指標を1枚にまとめた概要版も公開していています。

財政状況資料集(総務省)

こちらが大館市の概要版です。

財政状況資料集を見ると、大館市が他の自治体と比べてどうい状況なのかが把握できます。

青枠で囲んだ箇所をご覧ください。国は、人口規模とどの産業に従事している人の割合が多いかを基準に、全国の自治体を35のグループに分けています。大館市は人口5万~10万人、2次産業と3次産業に従事する人の割合が90%以上(3次産業は65%未満)というグループに属しています。このグループには79の自治体が属します。これを類似自治体といいます。

赤枠をご覧ください。この「財政力指数」という指標は、人口・面積などに基づいて算出する支出規模(標準的財政需要といいます)のうち、自治体の判断で使途を決めることができる財源(一般財源)でどれくらいを賄えているかを示しています。赤字の折れ線グラフが大館市の値です。過去5年間の推移が示されています。そのうえに記されている紺字の値が類似自治体の平均値です。類似自治体は7割を賄えていますが、大館市は4割しか賄えていません。他の自治体と比べて、国・県により多く依存していると言えます。

黄枠をご覧ください。この「将来負担比率」という指標は、財政規模に対して借金の残額がどれくらいあるかを示すものです。前述の財政健全化判断比率にも掲載されていた指標です。類似自治体の平均値は1~2割で推移しています。大館市は7~8割です。他の自治体と比べて、借金の規模が非常に多い状況です。

このように財政状況資料集を見ると、大館市は、単年度の収支は健全に運営されているが、自主財源の比率が小さく、借金の残額が大きいことが分かります。

まとめ

大館市の財政状況をまとめます。

国の健全化基準では問題ない状態です。しかし、類似団体と比べると、自主財源が小さく、借金などの将来負担は大きいです。そのため、予算には決して余裕がないという状況です。

市は道路、上下水道、病院、学校など多くの資産を持っています。今後、そうしたインフラの維持管理に膨大な予算が必要となります。資産も毎年の予算も私達市民みんなのものです。借金も私達市民みんなのものです。資産をどのように維持し活用し、お金を使っていくのか、丁寧に議論して合意をつくっていく必要があります。

2025年2月16日の議会報告会では、財政状況以外にも、各委員会で注目を集めているテーマについて報告が予定されております。ぜひお近くの会場に足をお運びいただければと思います。

カテゴリー

関連記事